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「大変そうだ。」「負担になる。」「どうすればよいか不安だ。」外国人児童生徒等を学校に受け入れる際、そんな思いを抱く場合があるかもしれません。しかし、実際には、受け入れによって、学校にとっても、子供たちにとっても、次のようなよい影響があります。
「大変そうだ」「不安だ」と受け入れる側は思うかもしれませんが、実際には、外国人児童生徒等とその保護者が一番強く不安を抱いています。
日本語指導等、課題は山積しているかもしれませんが、まずは何よりも安心感を与えられるように、外国人児童生徒等とその保護者の思いに寄り添いましょう。そのためには、相手の立場になって、不安を一つずつ、一緒に解決していくことが求められます。
日本語指導担当や在籍学級の担任以外の先生方も、情報を共有し、折に触れて、外国人児童生徒等のよさや成長を直接ほめたり、認めたりしてみましょう。学校全体に受け入れられている、見守られているという安心感を与えることができます。
外国人児童生徒等は、様々な事情により日本の学校で学んでいます。保護者の都合で仕方なく母国を離れたというケースもあるでしょう。外国人児童生徒等のアイデンティティの確立を支え、自己肯定感を育んでいくためにも、自身のルーツを大切にし、誇りを持てるよう、母文化や母語に視点を当てた支援が必要です。
特に、母語は、アイデンティティの基本的な部分を築くうえで重要な要素です。また、外国人児童生徒等は、日本の学校で学ぶため、日本語を学んでいますが、学習課題を考える場面では、母語の力も使いながら思考していますので、母語が十分に育っていないと、学力に影響を及ぼすこともあります。母語を日常的に使う環境から離れ、日本で生活していることを考えれば、家庭において母語を使う機会を保障できるよう、保護者に伝えていくことも必要でしょう。
日本語指導を要する外国籍児童生徒等の中には、学校生活に困らない程度の日本語の会話ができるため、日本語指導は必要ないように見える子供がいます。しかし、実際には、授業や試験などで困難さを抱えていることが多く見られます。
これは、「生活言語」と「学習言語」の違いによるものです。言葉の力には、生活に用いる言葉と学習に用いる言葉があります。生活に用いる言葉は、日本で生活していれば、自然とある程度身に付くものです。しかし、学習に用いる言葉は、時間をかけて特別な指導をしないと身に付きません。
外国籍児童生徒等が、自身の能力を十分に発揮して学校生活を送るためには、適切な支援が必要となります。正確な実態把握をしましょう。
本県は、「国籍、民族等の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、誰一人取り残されることなく、地域社会の構成員として共に生きるとともに、多様性を活かしつつ、文化及び経済において新たな価値を創造し、又は地域に活力をもたらす社会」(群馬県多文化共生・共創推進基本計画 令和4年3月策定)を目指しています。
目指す社会の実現に向け、学校教育は非常に大きな役割を果たすことになります。児童生徒の多様性を相互の学びに生かし、自分化・多文化に対する知識や、多様な見方や考え方を受け入れようとする寛容な態度などを育む多文化共生教育を実践していきましょう。
本県の外国人児童生徒等教育に関する取組については、以下を参照してください。