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日本語指導を始めるには、まず、対象となる児童生徒の実態把握が必要です。
外国人児童生徒等の中には、日常的な会話はできるが、授業にはついていけないという場合が少なからず存在します。それは、その児童生徒の学習能力の問題ではなく、授業に参加するための日本語能力が不足していることにその原因があります。外国人児童生徒等が、将来の希望や夢の実現を願いながら、日本の学校で主体的に学んでいけるよう、日常会話の力と、学習活動に参加するための言葉の力には違いがあるということを理解し、言葉の力をできるかぎり正確に把握することが求められます。
実態把握の方法として、以下のものがあります。
指導者と児童生徒が対話をとおして言葉の力を測定するためのツールです。「話す」「読む」「書く」「聴く」の4技能に分けて実態把握ができます。
詳しくは、こちらの文部科学省のページ<外部リンク>をご覧ください。
使い方のマニュアルを以下のリンク先の動画で紹介しています。
概要に関する動画<外部リンク> ・ はじめの一歩<外部リンク>
話す<外部リンク> ・ 読む<外部リンク> ・ 書く<外部リンク> ・ 聴く<外部リンク>
「日常会話の力」と「学習活動に参加する力(聞く/聴く・話す・読む・書く)」に分けて言葉の力を把握します。言葉の力ごとに7段階のステップに分けてあり、支援方法を具体化できるように工夫されています。
「つながる・ひろがる ISESAKIステップ」(PDF:5.52MB)<外部リンク>
語彙(文型、名詞、動詞、形容詞、形容動詞、副詞、その他)が表形式でまとめられています。習得したらマーカーで印を付けチェックし、日本語の語彙力を把握します。1日目から40日目まであります。
実態把握とともに、言葉の力を育むために、どのような実践を行うかを考えるためのツールです。
JSLバンドスケール川上郁雄 研究室:早稲田大学大学院日本語教育研究科 GSJAL日研<外部リンク>
日本語指導は、その実態に応じておおまかな指導段階があります。
本県では、「初期指導」「中期指導」「日本語と教科の統合学習」の3つに分け、その具体的な内容を「ぐんまのぐんぐんガイド」及び「ぐんまのかけはし」において整理しています。
詳しい内容は、左のメニューから該当ページを開いてください。
文部科学省の5つの指導内容例では、「1 サバイバル日本語」「2 日本語基礎」に該当します。日常会話も難しい、日本語を初めて学ぶ児童生徒に対して行うプログラムです。学校や社会生活に関する、最低限のルールを理解し、1~2語程度で意思疎通できるようにすることが目標です。
文部科学省の5つの指導内容例では、「2 日本語基礎」「3 技能別日本語」に該当します。初期指導を終えた児童生徒に対して行うプログラムです。日本語で学校生活に参加するために必要な、文字や文型など基礎的な日本語の力を育てることが目標です。
文部科学省の5つの指導内容例では、「3 技能別日本語」「4 日本語と教科の統合学習」に該当します。中期指導を終える、または中期指導と並行して行う学習です。教科等において、課題把握・情報収集・観察等の様々な活動に日本語で参加することができるようにすることが目標です。
文部科学省の5つの指導内容例では、「5 教科の補充」に該当します。中期指導以降は、日本語指導と在籍学級での指導内容を関連させることで、指導の効果が高まるため、日本語指導教室等では、在籍学級の教科学習の内容を先行して学んだり、補充的に復習したりすることが想定されます。
この段階では、在籍学級担任や教科担当が、児童生徒の日本語能力を把握し、「やさしい日本語」を用いたり、授業をユニバーサルデザイン化したり、どの児童生徒にとってもわかりやすい授業を行うことが求められます。その上で、日本語指導担当が、T2として支援をします。
実態に応じた指導を計画的に進めていくためには、個別の指導計画が必要となります。
個別の指導計画は、日本語指導だけでなく、児童生徒の文化的背景を踏まえた学校生活への適応や在籍学級と連携した教科指導を行う等、総合的・多面的な指導を進めていくための羅針盤となる計画です。特に、日本語指導を要する児童生徒を在籍学級から「取り出して指導」する場合は、「個別の指導計画」を作成する必要があります。詳しくは、こちら作ろう使おう個別の指導計画のページをご覧ください。