平成23年4月1日施行の改正廃棄物処理法において、廃棄物処理施設(最終処分場及び焼却施設等)の維持管理状況の情報の公表及び定期検査が義務付けられました。
1 維持管理状況の公表
(1) 維持管理状況の情報の公表の趣旨
排出事業者がその廃棄物の処理を委託するに当たっては、生活環境保全上の支障のおそれが生じないように当該廃棄物を適正に処理することのできる廃棄物処理施設を選択することが必要であり、そのためには排出事業者が廃棄物処理施設の維持管理に関する情報を簡易迅速に得られることが必要です。また、廃棄物処理施設に対する国民の不信感や不安感を払拭するため、廃棄物処理施設の維持管理に関する情報に国民がよりアクセスしやすくし、廃棄物処理施設での処理の安全性に関する理解を促進する必要があります。
そこで、焼却施設や最終処分場等の廃棄物処理施設について、設置の許可を受けた者は、維持管理状況の情報を公表しなければならないこととし、もって廃棄物処理施設に対する国民の信頼向上を図ることとされました。
(2) 情報の公表を行う廃棄物処理施設
- 焼却施設(産業廃棄物・一般廃棄物)
- 最終処分場(産業廃棄物・一般廃棄物)
- 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
- 廃ポリ塩化ビフェニル等若しくはポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設又はポリ塩化ビフェニル汚染物若しくはポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設若しくは分離施設
※当該廃棄物処理施設には、休止中の廃棄物処理施設及び埋立処分が終了した廃棄物の最終処分場が含まれます。
※従来から維持管理状況の情報は、記録と備付けが義務付けられていましたが、法改正により積極的に公表することとなりました。
(3) 情報の公表について
- 廃棄物処理施設の設置者又は管理者が公表しなければならない維持管理に関する情報は、これまでも記録し、備え置かなければならないこととされている事項と同様の事項としました。
- 記録事項の結果の得られた日等の属する月の翌月の末日までに公表し、3年を経過する日まで公表しなければなりません。
- 公表方法については、インターネットその他の適切な方法により公表することとされており、幅広い関係者が当該情報にアクセスできるようにするという視点からは、原則としてインターネットを利用する方法が望ましいとされています。ただし、連続測定を要する維持管理情報について、インターネットでの公表が困難な場合に、求めに応じてCD−Rを配布することや、紙媒体での記録を事業場で閲覧させることなどについても、「その他の適切な方法」による公表の方法と見なされます。
(4) 公表する事項について
様式は定められていませんが、廃棄物処理施設の種類ごとに公表する事項をまとめましたので、公表の際に参考としてください。
(5) 経過措置について
平成9年以前に設置された廃棄物処理施設については、当該施設の維持管理計画の策定が義務付けられていなかったことから、維持管理計画の公表の義務がありません。(測定値などの維持管理情報のみの公表です)。ただし、平成9年以前に設置された廃棄物処理施設であっても、平成9年以降に変更の許可を受け、又は維持管理計画の変更届出を行った廃棄物処理施設は、維持管理計画を公表しなければなりません。
2 定期検査
(1) 検査制度創設の趣旨
廃棄物処理施設については、当該施設を設置し、又は変更する際には、使用前検査が義務付けられていますが、許可を受けた後は当該許可の更新は不要であることから、許可の要件とされている技術上の基準に適合しているかどうかについて都道府県知事が定期的に確認する制度がありませんでした。そのため、廃棄物処理施設の老朽化等に伴って当該施設から生ずる生活環境保全上の支障の発生を未然防止又は拡大防止することができないおそれがありました。
そこで、焼却施設や最終処分場等の廃棄物処理施設について、設置の許可を受けた者は、定期的に都道府県知事の検査を受けなければならないこととし、もって廃棄物処理施設に対する国民の信頼向上を図ることとされました。
(2) 検査を受けるべき廃棄物処理施設
- 焼却施設(産業廃棄物・一般廃棄物)
- 最終処分場(産業廃棄物・一般廃棄物)
- 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
- 廃ポリ塩化ビフェニル等若しくはポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設又はポリ塩化ビフェニル汚染物若しくはポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設若しくは分離施設
※当該廃棄物処理施設には、休止中の廃棄物処理施設及び埋立処分が終了した廃棄物の最終処分場が含まれます。
(3) 定期検査について
定期検査は、5年3月以内ごとに受検する必要があります。
- 定期検査は、あらかじめ申請書を都道府県知事に提出しなければならないこととされており、受検期限の前に十分な時間的余裕をもって申請を行う必要があります。
- 定期検査申請書(一般廃棄物処理施設)
一般廃棄物処理施設定期検査申請書 (Word:17KB)
一般廃棄物処理施設定期検査申請書 (PDF:68KB)
- 定期検査申請書(産業廃棄物処理施設)
産業廃棄物処理施設定期検査申請書 (Word:16KB)
産業廃棄物処理施設定期検査申請書 (PDF:36KB)
- 申請手数料…受検費用はかかりません(ただし、今後見直すことがあります。)
- 担当窓口…施設の所在地を管轄する環境(森林)事務所となります。
- なお、受検期限が近づいている者に対しては、申請を行うよう指導します。申請するよう繰り返し指導したにもかかわらず申請をせず、受検期限内に定期検査を受ける見込みがない者については、違反行為に該当し、廃棄物処理施設に係る使用停止命令、設置許可の取消し等の行政処分を行います。
- 1つの施設に対し複数の許可を受けているときは、1回の検査によりすべての検査を実施します。
(4) 検査までに準備する事項
検査の対象となる廃棄物処理施設の許可に関する情報を確認してください。
- 申請書の記載事項と許可証記載事項に違いがないことの確認。
(参考)申請書の記載事項など
- 氏名または名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
- 廃棄物処理施設の設置の場所
- 廃棄物処理施設の種類
- 許可の年月日及び許可番号
- 施設設置時の申請書及び添付書類、許可証並びに軽微変更の届出等の確認。
- 過去の検査記録に基づく立入検査票、改善計画書、改善計画の実施状況等がある場合、これらに基づき、重点的に確認するべき事項があるときは、その事項の確認。
(5) 検査の実施について
- 廃棄物処理施設の設置の許可の際に申請書、図面等(変更の許可を受けた場合にあっては、変更後のもの)と実際の廃棄物処理施設の構造に相違がないかを確認するとともに、技術管理者等当該施設について十分な知識を有する者の立会い及び説明を求める等により、当該施設が構造基準に適合したものであることを確認します。
- 定期検査は、稼働中に実施することを基本とし、稼働を停止しなければならないような検査は行いません。また、休止中や埋立終了届出が提出されている施設については、施設の稼働や最終処分場の掘り返しを求めることなく、定期検査票を参考にして確認可能な範囲で、書類検査、ヒアリング検査及び目視等検査を実施します。
- 書類検査及びヒアリング検査では、施設の構造又は設備内容の図面等による構造基準適合状況を確認し、目視等検査では、目視等により現地の状況を確認します。
(6) 定期検査実施後の措置
定期検査を行ったときは、その結果を通知する書面を交付します。
- 検査結果の通知の際に措置すべき事項等を指示した場合、又は必要に応じて別途改善指示書による行政指導等を実施した場合には、設置者に具体的な改善方法、改善期限等を記載させた改善計画書の提出を求めます。
- 定期検査の結果、廃棄物処理施設が構造基準に適合していないと認められる場合は、必要に応じ、事業停止命令又は改善命令の発出等を行い、当該施設が構造基準に適合するものとなるよう指導します。
(7) 定期検査ガイドライン(環境省作成、一部群馬県編集)
定期検査ガイドライン(一括) (PDF:2.3MB)
定期検査ガイドライン(分割1) (PDF:635KB)/定期検査ガイドライン(分割2) (PDF:580KB)/定期検査ガイドライン(分割3) (PDF:316KB)